子供について

親権と監護権

親権は「財産管理権」と「身上監護権」の2つがあるとされています。
財産管理権・・・・未成年の子供の財産管理や法的な問題について代理をすること
身上監護権・・・・しつけ・教育・未成年の子供の身の回りの世話をすること
婚姻中の親権者は父母の共同親権ですが、離婚の際はどちらか一方を親権者と定めることになります。
親権者を定めないと離婚届は受理されません。
協議離婚の親権者の決定は夫婦間の協議で決めることになりますが、協議がまとまらない場合は家庭裁判所へ調停・審判となります。
裁判による離婚の場合は、裁判所が決定します。
10歳までの子供の9割は母親が親権者となることが多いです。
裁判所の親権者の判断基準は「子の利益」で、当事者の経済状況や環境、子の養育に対する意思、子の年齢、子供の意思によって判断されます。
監護権は、身上監護権のことです。

通常、親権と監護権は同一の親がなりますが、親権者と監護権者を分離する事もできます。
ただ、親権者と監護権者は一致するのが望ましいとされていますし、特別な理由がない限り分離しないほうがいいと考えます。

面接交渉権

面接交渉権とは、離婚して子供と暮らさなくなった親が子供に会うことのできる権利です。
面接交渉の取り決めとしては月に1回とか3ヶ月に1回など日時や場所も定めておく場合が多いです。
また、面会のみならず、電話や手紙を出すなどの事項の定めることもあります。
この面接交渉がしっかり行われていると、養育費の未払いの問題は起こりにくくなっています。
面接交渉を月に1回と定めたにも関わらず、親がこれを履行しない場合は、家庭裁判所による履行勧告や損害賠償請求はできますが、強制的に面接交渉をさせることは出来ません。
子供が「会いたくない」といっている場合は無理に合わせる必要はありません、面接交渉は子の福祉に影響しますので、子供の意思や感情に配慮してください。

子供の氏と戸籍について

原則として結婚によって氏を改めた妻は、離婚する事によって結婚前の氏に戻ることになりますし、戸籍も婚姻前の戸籍に戻るか、新たな戸籍を作ることになります。
しかし父母が離婚しても子供の氏に変更はありませんし、母親の戸籍に自動的に入ることはありません。母の戸籍に子供を入れるためには、

1) 家庭裁判所へ「子の氏の変更許可申し立て」をする
2) 役所へ入籍届けをする

この2つの手続をする事になります。

変更申し立ては15歳以上の子供の場合は子本人です、15歳未満の場合には法定代理人です。
当事務所に公正証書作成を依頼していただいた方には、上記の変更申し立ての見本を差し上げますので、そちらを利用していただければ、簡単にわずか一日で子供の氏を変更し戸籍に入籍することができます。
また、見本を見てもわからない場合は、メールや電話で何度でも無料でサポートいたします。

養育費の相場

養育費の相場というものは、支払い者と受け取り者の経済状況(収入等)や子供の年齢や人数により異なり、大体いくらかというようなものではありません。
東京・大阪の裁判官などで構成される「養育費等研究会」が算定表を作っていますので参考にしてみてください。

>>養育費算定表をダウンロード

養育費の減額・増額

養育費の取り決め金額が決定されても、その後に金額を変更することができます。
どういった場合に出来るのかというと、父母間での合意があれば当然に、そうでなければ失業・病気・事故などで父母の経済状況に変動があったり、子の養育費が増加したなどの事情があれば、家庭裁判所は、養育費の変更ができるとされています。
増額が認められた例は、物価が著しく上昇した、子供が病気になり多額の治療費入院費が必要になった。
減額が認められた例は、養育費決定時の時より収入が3分の1に減少し、再婚後の生活費を共稼ぎで確保している場合。
などがありますが、当然に増額・減額できるものではありません。

慰謝料・財産分与について

慰謝料とは

慰謝料というものは離婚の際に当然に発生するものではありません。
離婚 = 慰謝料ではないのです。
離婚によって受ける精神的苦痛に対しての損害賠償が慰謝料ですから、単なる性格の不一致で離婚するような場合は慰謝料は発生しません。
慰謝料が発生する場合は、相手に不貞行為があった場合や暴行・虐待などにより離婚に至った場合、姑の執拗な嫌がらせを夫が黙認している場合など、不法行為があったときです。
不貞行為があった場合でも、すでに不貞行為の前に夫婦間が離婚寸前で事実上破綻していた場合に、夫の不貞行為が原因で離婚に至ったとはいえず、不貞行為と離婚に因果関係がない場合は請求できません。

不倫相手への慰謝料請求

夫婦のどちらかと肉体関係をもった第三者は、故意又は過失がある限り、夫又は妻の権利を侵害したとして慰謝料を支払わなければなりません。
故意又は過失とは、相手に夫又は妻がいることを知っている場合、知らなくとも当然知ってるだろうという場合に関係を持つという事です。不貞行為をされた配偶者は不倫相手に慰謝料を請求することはもちろん、夫又は妻に対しても慰謝料の請求も可能です。
不倫相手への慰謝料請求には内容証明を使うと効果的です。
当事務所でも内容証明を使った慰謝料請求ができます。

慰謝料の相場

慰謝料というものは夫婦間の離婚原因、離婚に至る経緯、結婚期間、経済状況、有責行為など色々な事情を踏まえて、個別に計算するものなのです。 お互いの話し合いでまとまったのであればいくらでもかまいません。
裁判になった場合の請求額の平均が、670万円くらいで、認められた金額の平均額は190万円くらいとなっており、そんなにもらえないというのが現状です。

財産分与とは

財産分与とは婚姻期間中に夫婦の協力によって築き上げた財産を離婚の際に分けることです。
結婚している間にお互いが協力した財産ですので、夫婦の一方が結婚前からもっている財産や結婚後に自分の親から相続した財産などは財産分与の対象にはなりません。
婦の協力によって築き上げた財産であれば、どちらかの単独名義の不動産でも財産分与の対象になります。
共働きでも、専業主婦でも大体50%の割合で財産分与しているケースが多いようです。

財産分与の対象となるのは、
1.現金 2.預貯金 3.株式 4.不動産 5.車 などです。

もしすでに離婚を決意してるのであれば、どの程度の財産があるのかチェックし通帳のコピーなどを取っておく事をお勧めします。
離婚を切り出してからでは、相手方は自分名義の財産全てをこれだけあるよ出してくれるとは考えにくいからです。

ローンのある不動産の財産分与

住宅ローンなど残っている不動産を分ける場合は売却して清算してしまうのが一番いいのですが、
そういう訳にもいかない場合があります。
夫が購入しローンを支払いしていた土地家屋を財産分与しそのまま夫が住む場合は

土地家屋の時価を2000万円、ローンの残代金1000万円、分与の割合を50%とした場合は、
2000万円 - 1000万円 × 50% = 500万円
という事になります。

夫は妻に500万円を支払い、残りのローンを払いながら住むという事になります。

年金分割について

年金分割とは

正確には「離婚時厚生年金分割制度」といいます。
平成19年4月から開始された制度です。

どのような制度かというと特に熟年離婚の場合、夫が会社員でずっと専業主婦であった場合、離婚後の夫は定年後に受け取れる年金は厚生年金に加入しているため、ある程度の金額がもらえますが、専業主婦の場合は国民年金のため小額の年金しか受け取ることはできません。
その格差をなくすために、婚姻期間中の厚生年金部分の最大2分の1を分割する事ができるという制度です。
相手が婚姻期間中、自営業でずっと国民年金あれば年金分割はできません。
分割できるのは厚生年金・共済年金部分です。

どの程度受け取れるのか

当然に婚姻期間中の厚生年金部分の2分の1をもらえるわけではありません。
当事者間の合意で最大2分の1分割されるのです。当事者間で合意がまとまらない場合は家庭裁判所に申し立て分割割合を定めます。
婚姻期間が長いほど、専業主婦暦が長いほど年金分割の割合が多いことになります。

受給資格の確認

事前に社会保険事務所での年金加入状況をしっかり調べる必要があります。
年金分割をしてもらっても、自分に保険料未払い期間がある等の理由で年金の受給資格がなければ意味がありません。
自分にどの程度の年金分割がされるかを確認するため社会保険事務所に情報提供の請求をする必要があります。
この請求は、離婚前、離婚後でもできます。

請求に必要な書類
■情報提供請求書
■請求者自身の年金手帳または国民年金手帳
■戸籍謄本または抄本

分割割合が決まっても、分割改定の請求をしなければ、年金の分割はされません。
社会保険事務所へ分割の請求を行ってください
離婚をしたときから2年以内に行う必要があります。

母子家庭・一人家庭への情報

もらえる手当て等

児童扶養手当・・父母の離婚などにより、父と生計を同じくしていない18歳までの子供を養育している母子家庭などに、行政から最大月額41,720円支給される制度です。
所得制限などもありますが、ぜひ利用してみてください。
福祉医療制度・・ひとり親家庭の子供が18歳になったとしの年度末まで、病気や怪我などで医療機関にかかるとき、保険診療の自己負担部分が助成されます。
当事務所でも請求の仕方等サポート致します。

貸付について

母子寡婦福祉資金・・・・母子家庭及び寡婦の経済的自立と生活の安定、子供の福祉向上のために、無利子または低金利で貸付を行ったています。詳しくは各市町村の児童家庭課にお問い合わせください。

暮らしについて

母子生活支援施設・・様々な事情で18歳未満の子供を十分に養育できないときに生活の場となる
             児童福祉施設です。
公営・市営住宅・・・・母子家庭のかたは一般よりも当選率が優遇されます
税の軽減・・・・・・・・・母子家庭の母は所得税・住民税について基礎控除・扶養控除のほかに申告により
             寡婦控除を受けられる場合があります。

その他さまざまな支援や援助があります、離婚後のこういった手続や制度の紹介は役所が教えてくれたり自動的に行われるものではあありません。こちらから調べたり問い合わせしなければ利用することができません。
当事務所では離婚後の大変な生活を少しでも楽にさせることを常に考えサポートします。

その他

婚姻中の氏を使うには

結婚により氏を改めた妻は、離婚する事により結婚前の氏に戻り、戸籍も結婚前の戸籍に戻ることになります。
しかし、氏がかわると仕事や生活のうえで困るなどの理由で、そのままの氏を使いたい場合もあるでしょう。
そういったときは、離婚後3ヶ月以内に届出をすることにより、婚姻中の氏をそのまま使い続けることができます。
離婚届の提出のときに、一緒に提出でき夫の同意も必要ありません。
離婚届の記載の仕方がわからない場合も当事務所でサポート致します。

離婚の税金

財産分与・慰謝料が現金で支払われた場合は原則として税金は課税されません。
財産分与は夫婦の財産の清算というものですから所得税もかかりません、慰謝料も損害賠償の性質ですので同様です。
しかし例外で現金で財産分与・慰謝料を支払われた場合に贈与税が課せられる場合があります。
それは明らかに分与の額が多いといった場合に通常分与される金額を上回った分が贈与とされます。
不動産の場合は分与される側に不動産取得税が課されます。
結婚の期間が20年以上の夫婦の場合離婚前に不動産を贈与し、贈与される側が住み続けるのであれば、配偶者控除の2000万円まで非課税となります。